遠方に相続予定の不動産があるお客様からの相談です。
「相続した不動産があるのですが、処分に困っています、どうすればいいのでしょう?」
■相続はしたけれど・・・
相続する不動産は、相続人にとって大きな財産になります。
相続して財産を承継して、財産が増えてうれしいはずですが、固定資産税等の納税義務や維持管理費用も同時に相続するのです。
相続すると、未来永劫まで「収益を生む財産」ならいいのですが、そうでなければそれなりの経費が必要になることを忘れてはいけません。
これを口の悪い人は「負動産」とか言います。
田舎の実家を相続したのはいいけれど、建ててからだいぶ年数が経っているので、賃貸に貸すにしても水回りや屋根の大幅なリフォーム工事が必要です。
そこまでして貸すのもどうか迷います。そうかといって売ることもためらいます。
本当に悩ましい・・・。
■その解決策は3つ
使用する予定がない不動産を相続したけど、どうすればいいでしょうか?
選択肢は次の3つです。
1.相続してから売却をする
2.第三者に寄付をする
3.相続を放棄する
1.相続してから売却する
相続してから売却することを検討してみてください。
相続する不動産で使用する予定がないのであれば、売却することが一般的です。
相続人にとっては不要でも、第三者の立場からすれば有用になる可能性もあります.
不動産の所在が遠方で相場が分からない場合は、地元の不動産会社に価格査定を依頼することをお勧めします。
その場合、複数の不動産会社に依頼してください。
遠方の人からの査定依頼は依頼者が相場を知らないことを悪用し、いい加減に査定する不動産業者もいますので、比較するために複数の不動産会社に依頼しましょう。
2.寄付をする
寄付する場合は、まず「遺言書」を確認してください。
遺言書に寄付する先が記載されていたら、それに従う必要があるからです。
遺言書に記載もなく遺言書自体が無い場合は、相続人が寄付先を探すことになります。
不動産会社に売却の依頼をしても売れなかった場合は寄付という選択があります。
寄付の受入れ先としては、自治体、法人、自治会、町内会、個人などがあります。
自治体などの場合は、担当部署で受入れ可能と判断が出れば寄付することができますが、自治体でも使用する目的のない土地や空き家の寄付を受入れることはほとんどないのが実情です。
個人に寄付する場合、寄付の受け入れ先は誰でもいいのですが、ほとんどの場合は隣地所有者になるでしょう。
隣地の所有者であれば、もともとあった土地とひとつにまとめることで有効活用がしやすいからです。
ただし
たとえ隣地と言えども活用する可能性がない場合は、いくら無償で譲りたいと考えていても受け取ってもらえない場合もあります。
また
個人への寄付については贈与になるので、相手方に「贈与税」がかかることを覚えておいてください。
3.相続を放棄する
相続する前であれば、「相続放棄」をするという選択があります。
ただし
他にも相続財産がある場合、不要な不動産だけを放棄することはできません。
相続人は、プラスの財産もマイナスの財産も「すべての財産を相続するか、すべてを放棄するか」の2択しかないことを覚えておいてください。
また
相続放棄をしたとしても相続予定者はその財産の管理を継続しなければなりません。
民法第940条第1項に「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」とあるからです。
あなたが相続放棄したことで次順位の人が相続してくれれば、あなたの財産管理義務はなくなります。
相続予定者全員が放棄してしまい相続人が不在となった場合は、実務的には家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任の請求をしなければなりません。
■相続財産管理人の選任の問題点
相続財産管理人を選任すれば、あなたの財産管理義務はなくなります。
相続財産管理人を選任するうえで問題になるのが費用の発生です。
相続財産管理人(弁護士や司法書士)も業務として財産管理をしますので、それなりの報酬が発生します。
基本的に報酬は相続財産から支払われることになりますが
管理財産が不動産だけの場合その不動産を管理するだけではお金を生みません。
そうなると、相続財産管理人の申立人(相続人)は不動産が売れても、代金決済が終わるまでずっ~と支払うことになります。
相続放棄を選択しても相続財産の管理は続けなければならず
関わりたくないので相続財産管理人を選任したはずなのに財産管理人に報酬を支払うことになります。
■まとめ
遠方の不動産で、使用する予定がない不動産であれば時間が掛かったとしても売却することを検討した方がいいかもしれません。
その前提は、いったんは相続登記をしてから、いつでも自由に処分できる状態になっていることです。
相続する・しないを決断する前に、売れそうな不動産なのかどうなのか、地元の不動産会社に相談してみてください。
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今日もいつものガンバル不動産でした。